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僕が出している「堀江彷這」。
今風にいうとフリーペーパー。 昔風にいうとミニコミなのだが。 高校生の頃、 「ある晴れた日に」というミニコミがあった。 三重県の前川さんという (高校生にとっては)おじさんが発行者で。 どんなミニコミかというと、 アメリカやヨーロッパの レコード屋やオーディオ店を 紹介するミニコミなのであった。 ただ紹介するだけではなく、 日本人の個人輸入可能な店を取り上げ その店に頼んで輸入したら いくら値引きしてくれるかとか、 梱包の具合はどうだとか、 実際に前川さんやその友人の方が 自分で試した実例をまじえて紹介しているのであった。 発行者のご友人は医者や弁護士などの 金持ち音楽マニアが多かったらしく、 1ドル360円の時代に その人達はしょっちゅう欧米へ出かけては 日本人に安く売ってくれる店を見つけ、 それをミニコミで紹介していたのだった。 インターネットで何でも手に入るいま、 それがどうしたん?てなものだろうが、 ネットもケータイも情報誌もなく、 おまけにお金もない高校生にとって、 そのミニコミが どれだけ役に立ったことか。 何しろ当時、輸入盤というのは 梅田の東通り商店街にあった LPコーナーという店で買うしかなく、 しかもべらぼうに高いのであった。 それがアメリカから輸入すれば 半額以下で買えるとあっては、 そりゃもう即、個人輸入あるのみ、であった。 嬉しいことに そのミニコミには 注文方法(サンプル英文付き)まで書かれていて、 僕はまず、心斎橋のヤマハで シュワンという輸入盤のカタログを手に入れ、 (レコード番号を書き添えるため) 松村をはじめとする音楽好きの友人に かたっぱしから声をかけ、 合計100枚以上の注文を集めて (税金・保険料・送料を割安にするため) サンプル英文に添って手紙と注文書を書き、 銀行で外貨小切手を作って シアトルのレコード屋へ送付した。 ミニコミがなければ、 英語力のない高校生に そんなこととても不可能な作業であった。 安い船便でのオーダーだったので 到着までには2ヶ月以上かかった。 でも 到着の知らせが届いた時の 嬉しかったことといったら! 僕と松村は 学校をそそくさと早退けして 自転車を押して郵便局まで受け取りにいった。 おそらく高校の間に 5回か6回は注文したように思う。 1枚のレコードがおよそ1200円くらいで買え、 2枚組でも1700円くらい。 日本に入ってきていないレコードも ずいぶん個人輸入で手に入れた。 いまも松村と、 レコードの話になると、 あのときシアトルから買ったレコード、 貴重盤が多かったよな、などという話が出てくる。 で、一度、 アメリカのオーディオ店に シュアーのレコード針を注文したことがあった。 ところが待てど暮らせど送ってこない。 困った僕は 前川さんに事情を説明する手紙を書いた。 すると前川さんは そういう時は詐欺で訴えるよ、と ちょこっと脅してやればいいんですよ、と 脅しの英文サンプル入りの手紙を 僕に送ってくれたのであった。 その通りにすると、 それから1週間もたたないうちに航空便が送られてきた。 荷物を開けて驚いた。 針を2個注文したはずが 何と5個、しかもカートリッジ付きで送られてきたのであった。 友達と喜んで山分けしながら、 さすが訴訟大国、と17歳にして思った。 にしても 僕がけっこういろんなレコードを 10代の頃に聴く機会が持てたのは、 もちろんロック喫茶のおかげもあるが、 40パーセントくらいは、 前川さんのミニコミのおかげなんであった。
by hobodai
| 2006-02-21 18:20
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